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3DCGでCOSMOSを描く -3-

白道の歳差運動

白道(月の軌道)の歳差運動(さいさうんどう)を描いてみます。
− 歳差運動とはWikipediaによると、自転している物体の回転軸が、円をえがくように振れる現象のこと −
新月の度に日食が起こらないのは、なぜでしょう?
月の軌道が傾いているため、新月であっても地球と月と太陽とが一直線とならない限り日食は起こりません。
それでは、一直線となるのはどんな時でしょう?
地球と月と太陽が同一面に並ぶ時、つまり黄道面(地球の軌道面)と白道面(月の軌道面)が交わる時なのですが、 これもまた複雑な要素が影響し合って変化するので、なかなか理解しにくいものです。
中でも、「対恒星近点順行周期」「対恒星交点逆行周期」と呼ばれる歳差運動による軌道の変化が分かりにくいのでムービーを作ってみることにしました。 このムービーでは、8.85年で巡る「対恒星近点順行周期」と18.6年で一周する「対恒星交点逆行周期」について描いています。
※なぜ「対恒星近点順行周期」が8.85年で巡り、「対恒星交点逆行周期」が18.6年(約248.65周:恒星月)で一周するのか等については、天体の専門サイトで確認してください。

ムービー「白道の歳差運動」

月の軌道の歳差運動を描いています。月の自転に関する歳差運動は考慮していません。
月と地球はリアルな比率より10倍の大きさにしてあります。 地球はゆっくり回転しています(実際は10倍程度速いはずです)。地球であることと回転方向が分かることを優先しました。 月の一周(恒星月:27.321661日)を1秒に設定してあります。 月は18.6年で約248.65周してほぼ元に戻ります。ということは、このムービーでは248.65周=248.65秒=4分8秒ちょっとで18.6年を表しています。 黄道面には平面だと分かるよう、格子状のグリッドをマッピングしてあります。 黄色と赤のラインは近地点と遠地点を結んだもの。「対恒星近点順行周期」の動きを表しています。白道を回る月と同じ方向にゆっくりと回転しています。このムービーでは2周ちょっと(8.85年の動きに相当)回転しています。 青と緑の三角印は黄道と白道の交点を指し、「対恒星交点逆行周期」の動きを表しています。白道を回る月と逆の方向にゆっくりと回転し、18.6年の動きに相当します。 白道のラインの中で強く光る白い部分は黄道面の上(北)にあることを示しています。 視点の異なる上下のアニメーションで軌道面の傾きが変化していく様子が分かります。

●CG制作メモ(LightWave3Dを使用しています)
黄道面より上(北)の白道の軌跡のラインを強く光らせるためにカラーレイヤーノードを使用しています。
レイヤー種をグラディエント、入力パラメータを「Y Distance to Object」に設定の上、傾斜している月の軌道のY軸の一番大きな数値のところにNullを置き参照オブジェクトとして参照しています。Y=0となる位置でアルファ値が100%となりステップ状に変化するように設定してLuminosityの入力ノードに繋ぎます。
また、月の軌道を巡る軌跡は軌道となる線ポリゴンの各ポイントに緩やかに変化するウェイトマップを設定して徐々に消えてゆくイメージを表現しています。